Vol. 7, No. 1を刊行いたします

分析哲学と文化をつなぐフィルカル、おかげさまで7年目を迎えることができました。今年度も引き続き充実した誌面づくりに励んで参ります。最新号『フィルカル Vol. 7 No. 1』が、04月30日(土)に発売となります。以下に、最新号の内容をご紹介いたします。(目次はページ最下部)

内容紹介

7年目のスタートを飾る今号の巻頭は、恒例となった選書企画、フィルカル・リーディングズ2021です。31名の研究者・出版社によるおすすめ本をフルカラーでお届けします。今号からフォーマットも一新し、プロフィール欄も充実させましたので、寄稿者の「顔」がより見えるようになりました。おすすめ本リストとしてだけでなく、選書を通じた「自己紹介」(序文)としても楽しめるコンテンツに仕上がっています!また同企画の一環として、「編集者が語る、学術翻訳のつくり方と「持ち込み」のススメ」を勁草書房の山田政弘氏に特別寄稿いただいております。翻訳書の企画はどのように実現していくのか。企画を持ち掛ける際に、研究者は何を準備すべきか。研究者のあいだでも、きちんと共有されてこなかった学術翻訳の裏事情を覗くことができる、他ではまず読むことのできない貴重な記事になっています。

今号の特集ふたつめは、大西琢朗『論理学』(昭和堂)を取り上げています。大西氏による自著紹介のほか、4人の研究者によるそれぞれ異なった観点からの書評記事を通じて、著作の内容や、哲学における論理学という学問の位置づけだけでなく、この著作が分析哲学研究者のあいだでなぜ、そしてどのようにインパクトを与えたものであったのかを垣間見ることができます。

また今号では、フィルカル発行元の株式会社ミューから2021年に出版されたいのちとリスクの哲学―病災害の世界をしなやかに生き抜くために』(一ノ瀬正樹著)をめぐる、一ノ瀬正樹氏とメタ倫理学の専門家である蝶名林亮氏による対談の模様も掲載しています。お二人の対談を通じて、分析哲学のひとつの応用の可能性が見えてきます。

今号ではほかにも、最近日本でも徐々に関心が集まってきているI. マードックに焦点を合わせた論考「マードックと現象学」や、二本の報告記事「哲学の体系と実践―存在に触れながら」、「これが高校生の本音?!哲学に対する印象」を掲載します。シリーズ企画「ポピュラー哲学の現在」や 「#桜川ひかりに哲学のことをきいてみた」のほか、レビューや自著紹介記事もそろっています。

『フィルカル』は、Amazonや一部大型書店、一部大学生協でお求めいただけます(お近くの書店でお求めいただけない場合には、philcul[at]myukk.orgまでご連絡いただければ、こちらから発送いたします)

目次

2021 フィルカル・リーディングズ
序文(長門裕介)
「編集者が語る、学術翻訳のつくり方と「持ち込み」のススメ」(勁草書房編集部 山田政弘)

特集「大西琢朗『論理学』」
はじめに(朱 喜哲)
自著解説「「蛮勇」としての論理学へ」(大西琢朗)
「大西琢朗『論理学』(昭和堂、2021 年)書評 新しい論理学ツアーに参加する」(澤田和範)
「大西琢朗『論理学』(昭和堂、2021 年)書評 哲学における「論理学」のアップ・デートに向けて」(細川雄一郎)
「大西琢朗『論理学』(昭和堂、2021 年)書評」(植原 亮)
「大西琢朗『論理学』(昭和堂、2021 年)書評 「論理学」(ただし改造済み)」(槇野沙央理)

対談
「『いのちとリスクの哲学―病災害の世界をしなやかに生き抜くために』をめぐって」(一ノ瀬正樹・蝶名林 亮)

論考
「マードックと現象学」(吉川 孝)

シリーズ ポピュラー哲学の現在
対談「哲学と自己啓発の対話」第九回(玉田龍太朗/企画:稲岡大志)

報告
「哲学の体系と実践 存在に触れながら」(畑 一成)
「これが高校生の本音?! 哲学に対する印象」(和辻 龍)

レビュー
「池田喬『ハイデガー『存在と時間』を解き明かす』(NHK 出版、2021 年)」(佐藤 暁)
「池田喬・堀田義太郎『差別の哲学入門』(アルパカ、2021 年)」(佐藤岳詩)

コラム
「#桜川ひかりに哲学のことをきいてみた 第5回 翻訳書を読む・原書を読む」(桜川ひかり)

フィルカル編集部
分析哲学と文化をつなぐ雑誌