Vol. 6, No. 3を刊行いたします

最新号『フィルカル Vol. 6 No. 3』が、12月25日(土)に発売となりました。以下に、最新号の内容をご紹介いたします。(目次はページ最下部)

内容紹介

おかげさまで、フィルカルも6年目を終えようとしています。6年目のラストを飾る今号『フィルカルVol. 6 No. 3』では、巻頭小特集3本立てをお届けします。

小特集ひとつめは、今年はじめに刊行された話題書『闇の自己啓発』(江永泉・木澤佐登志・ひでシス・役所暁著、ハヤカワ書房)の書評記事特集です。本書が自己啓発をテーマとしており、かつ読書会の記録でもある点を捉えて、その底の知れない魅力に迫ります。

小特集ふたつめは「応用することの倫理」。前号でも特集した「緊縛シンポ」の問題を契機として企画されたシンポジウムを振り返るとともに、登壇者からの寄稿では日本における哲学を応用する試みの歩みを跡付け、哲学者が現実を生きる人々に関わる研究に取り組む際に直面する問題を考えます。

最後の小特集は「高校の探究学習における人文系研究者の役割」です。2022年度から、高校の学習指導要領の「総合的な学習の時間」が「総合的な探求の時間」に変更されます。この小特集では、先行して探求学習を行っている高校でTAを務める3名の研究者が、現場で生徒や教員に向き合った率直な実感をもとに、探究学習を実りある時間にするために何が必要であり、研究者がそこでできることは何かを探っています。

第2回となる特集「徳と教育」では、小特集でも取り上げた探求学習や、道徳教育、哲学教育における教育実践を徳の観点から批判的に吟味します。最終回を迎える特集「科学的説明論の現在」では、第1回で概観した因果的説明を超える「非因果的説明」を巡る議論を紹介しています。

新連載の「性表現の哲学入門」では、日常言語や裁判の判決における用法を手がかりに、「猥褻」概念を整理します。これは猥褻な性表現が悪いと言われるときの悪さを考える次回につながっていく予定です。

ほかにも、魔女裁判容疑者の体験を分析する論考「魔術的現象のリアリティ」や、舞台芸術の制作場面の会話分析を通して「アスペクト」の転換への理解を深める論文「アスペクトの転換と凝結」、教育現場での実践を報告する「丸山真男『「である」ことと「する」こと』を題材とした哲学対話の国語教育への応用研究」を掲載。好評連載の「#桜川ひかりに哲学のことをきいてみた」と「哲学と自己啓発の対話」に加え、レビュー記事もそろっています。

『フィルカル』は、Amazon のほか、一部大型書店、一部大学生協でお求めいただけます(お近くの書店でお求めいただけない場合には、philcul[at]myukk.orgまでご連絡いただければ、こちらから発送いたします)

年末年始のおともに、フィルカル『Vol. 6 No. 3』をお楽しみください。

目次

小特集1 『闇の自己啓発』
「もしもドラッカー読者が『闇の自己啓発』を読んだら」 (長門裕介)
「静止した闇の中で」 (倉津拓也)

小特集2 応用することの倫理
「〈応用〉することの倫理にまつわる問題を真摯に受け止めること ハラスメントとジェンダーと」 (佐藤靜)
「哲学者が安楽椅子から立ち上がるとき」 (奥田太郎)
「水俣の哲学者 市井・最首論争における概念と見方の問題」 (吉川孝) 

小特集3 高校の探究学習における人文系研究者の役割
「「きちんと」を疑い、上手に「ふざける」ための探究学習のありかたとTAの役割」 (田辺裕子)
「探究するための場 その現状と条件」 (倉田慧一)
「「問い」と自分の不可分な関係 とある高校における探究学習の現場から」 (三浦隼暉)

特集シリーズ1 徳と教育 第2回
「趣旨文:徳の教育実践を吟味する 総合的な探究の時間、哲学教育、道徳教育」 (佐藤邦政)
「「総合的な探究の時間」と知的徳の涵養 教育の限界と可能性が示す学びの沃野」 (山口裕毅)
「「考える人を育てる教育」はどのようなものであってはならないか 知的徳の教育の観点から」 (土屋陽介)
「哲学を学ぶことは「よく生きる」ことにつながるか P4C、林竹二、井上円了の教育理念から」 (神戸和佳子)

特集シリーズ2 科学的説明論の現在 第3回
「序言Ⅲ」 (清水雄也・苗村弘太郎・小林佑太)
「非因果的説明論の現在 多元説・還元的一元説・非還元的一元説」 (小林佑太・苗村弘太郎・清水雄也)

哲学への入門 
「性表現の哲学入門 第1回」 (八重樫徹)

シリーズ ポピュラー哲学の現在
対談「哲学と自己啓発の対話」第八回 (玉田龍太朗/企画:稲岡大志)

論考
「魔術的現象のリアリティ 魔女容疑者の体験分析」 (武内大)

論文
「アスペクトの転換と凝結 舞台制作場面の相互行為におけるアスペクト知覚の会話分析」 (鈴木南音)

報告
「丸山真男『「である」ことと「する」こと』を題材とした哲学対話の国語教育への応用研究」 (玉田龍太朗)

レビュー
「共に深海を潜るということ 永井玲衣『水中の哲学者たち』を読む」 (山野弘樹)
Hans-Johann Glock, What is Analytic Philosophy?, Cambridge University Press, 2008. (植村玄輝・遠藤進平)

コラム
「#桜川ひかりに哲学のことをきいてみた 第4回 哲学書を解釈してみよう」 (桜川ひかり)

フィルカル編集部
分析哲学と文化をつなぐ雑誌