Vol. 9, No. 2 を刊行いたします

分析哲学と文化をつなぐフィルカル、最新号『フィルカル Vol. 9 No. 2』が、8月31日(土)に発売となります。

書影

内容紹介

特集「バーナード・ウィリアムズと哲学史」では、「道徳的な運」「人生の意味」をめぐる仕事で知られる道徳批判の倫理学者・ウィリアムズをフィーチャー。プラトン、デカルト、ニーチェ、コリングウッドなどとの格闘を読み解き、ウィリアムズの発想の根幹に迫ります。特集「音楽生成AIのELSI」では、近年急速に発展したAI技術をめぐって、既存のコンテンツを学習し、故人の歌声を再現する音楽生成AIに求められる倫理を考えます。特集3「ケアへの法哲学」では、ケアを基底とする社会のあり方をめぐり、法哲学の専門家たちが批判と応答を繰り広げます。その他、シリーズ「著者自身による外国語論文紹介」や、哲学者の意外な一面を覗き見できる「リレーコラム」、アニメの作画の良さを分析する投稿論文など。哲学誌ならではの充実の新刊紹介・書評も。専門家がつくる哲学誌フィルカル、今号も哲学と文化の《今》を伝えます。

目次

目次1
目次2

特集1 バーナード・ウィリアムズと哲学史
・趣意文 渡辺一樹
・過去と哲学へのセンス―B・ウィリアムズ、M・F・バーニェットとプラトン 納富信留
・B・ウィリアムズのデカルト解釈―その科学論と絶対的な捉え方をめぐって 有賀雄大・筒井一穂
・B・ウィリアムズのニーチェ批判に対する応答の試み 谷山弘太
・R・G・コリングウッドの発掘―哲学史、再演、歴史主義的形而上学 渡辺一樹

特集2 音楽生成AIのELSI
・序文 長門裕介
・人デジタルクローン技術のELSIを見据える―責任ある開発のための視点 鹿野祐介
・テクノロジーと音楽の結びつき―そして音楽生成AIへ 肥後 楽・吉村汐七
・死後に創作は可能か 松本大輝
・ELSIの視点から音楽をみる 増田 聡

特集3 ケアへの法哲学
・企画主旨 吉良貴之
・ケア基底的(社会ではなく)民主主義? 吉良貴之
・ケア基底的卓越主義? 佐々木梨花
・「ケア基底的社会」と「ケアする市民」のあいだ―憲法学とフェミニズムが想定する人間像 戸田舜樹
・子どもへのケアを「はかる」―ケアの価値と公平な分配を考えるために 坂本美理
・ケアの倫理の「あいまいさ」の価値 冨岡 薫
・ケア基底的社会のための弁明―5つの書評への応答 池田弘乃

論文
・「作画が良い」とはどういうことか―アニメの作画を批評する方法 鈴木 潤

シリーズ 著者自身による外国語論文紹介
・福利主観主義、洗練性、手続的卓越主義 石田 柊

リレーコラム
・哲学メシ――駒場編 藤原諒祐
・研究者の楽屋裏――卓上紹介 三浦隼暉

連載
・企業研修に見る若手社会人の哲学?―自分の時間と成長の在り方 和辻 龍

イベント報告
・スピノザと〈私〉のありか フィルカル編集部

Review
・訳者による紹介 スピノザ『ヘブライ語文法綱要―スピノザ全集 第IV巻』(岩波書店、2024年近刊) 秋田 慧
・編者による紹介 『ヘイトスピーチの何が問題なのか』(法政大学出版局、2024年) 八重樫 徹
自著紹介 『信頼と裏切りの哲学』(慶應義塾大学出版会、2024年) 永守伸年
・レビュー 池田喬『ハイデガーと現代現象学』(勁草書房、2024年) 石井雅巳
・レビュー 御子柴善之『カント 実践理性批判―シリーズ世界の思想』(KADOKAWA、2024年) 中山弘太郎
・レビュー M・スチュワート『マネジメント神話―現代ビジネス哲学の真実に迫る』(明石書店、2024年) 大澤絢子
・レビュー 山野弘樹『VTuberの哲学』(春秋社、2024年) 本間裕之
・レビュー 鈴木貴之『人工知能の哲学入門』(勁草書房、2024年) 水上拓哉
・レビュー 清塚邦彦『絵画の哲学』(勁草書房、2024 年) 村山正碩

Abstract

ご購入はAmazon、一部書店、一部大学生協で。

ブックフェア「スタンリー・カヴェルからはじめる書棚散策」(新宿紀伊國屋書店)

フィルカル編集部主催で、ブックフェア「スタンリー・カヴェルからはじめる書棚散策:『フィルカル Vol. 9, No. 1』×『理性の呼び声』刊行記念」を開催します。

本ブックフェアは、2024年8月8日から9月末まで、紀伊國屋書店新宿本店三階にて開催されます。
フェア開催中、店舗では選書者たちによる解説を掲載した20頁のブックレットを配布します

企画:フィルカル編集部
ブックレット執筆者:荒畑靖宏、池田喬、朱喜哲、長門裕介、古田徹也、吉川孝
会場:紀伊國屋書店 新宿本店 三階 G04棚(三階カウンタ前フェア棚)
営業時間:10:30~21:00
 ※税込8,000円以上の購入で配送料無料。税込8,000円未満の場合は900円(税抜)。

ブックレットおよびフェアの詳細は特設ページをご覧ください。

特設ページ:
https://socio-logic.jp/events/202408_cavel.php

本ブックフェアに関するお問い合わせは以下までお願いします。
株式会社ミュー フィルカル制作部
〒113-0022 東京都文京区千駄木1-23-3
mail: philcul@myukk.org

イベント「企業が哲学と出会うとき」を開催します(東京大学UTCP共同開催)

フィルカル×東京大学UTCP(共生のための国際哲学研究センター)の共同開催にて、イベント「企業が哲学と出会うとき:日本における企業内哲学の実際」を開催します。

*2024年6月27日:定員に達したため参加申込を締め切りました。お申し込みいただきありがとうございました。

イベント概要

近年、世界的に、哲学界と企業界の交流が盛んになっています。
日本でも少なからずそのケースが見られますが、総じて、その実態はいまだ明らかであるとは言い難く、散見される言説ももっぱら哲学者側からのものです。

しかし「企業内哲学」は、哲学者と企業のあいだの共生の様式のひとつです。
そのため、企業内哲学の動向を理解するためには、哲学者の言説だけでなく、企業の側からの声に耳を傾けることが求められます。

そこで今回は、企業内哲学にかかわる企業と哲学者、ふたつの立場から議論を交わすイベントを企画しました。

哲学者側からは、三人の若手研究者がモデレーター・オーガナイザーとして登壇し、
企業側からは、2018年に哲学者を監査役として迎え入れた株式会社メタ・辻英人さん、
2023年に新規事業開発部門に哲学対話・哲学思考を導入したNECソリューションイノベータ株式会社・松本元延さんのおふたりをゲストスピーカーとしてお招きします。

とくに以下のような問いが議論の焦点となります。

  • どうして、どのようなプロセスで哲学者を会社に迎え入れたのか?
  • 会社のなかで哲学(者)は実際どのような《機能》を果たしているのか? またその機能は当初から想定されていたのか?
  • 哲学者を迎え入れることで社内にどのような《影響》があるのか?(良い面も悪い面も)
  • 哲学者による「哲学」と一般に言われる経営「哲学」とに違いはあるのか?

本イベントでは、以上の問いをめぐる議論をつうじて、企業内哲学の実際を参加者のみなさまと共有し、その実践にどんな条件があり、何に注意するべきなのかを考えます。
そのなかで、哲学と企業を取りまく今日の時代状況についても、考察を深めることができるはずです。

詳細

  • 日時:2024年6月30日(日)15:00–18:00(開場14:45)
  • 形式:対面のみ・オンライン配信なし
  • 会場:東京大学 駒場キャンパス「21 KOMCEE East  K211」 
  • 参加費:無料
  • 定員:70名(定員に達し次第、お申込みを締切らせていただきます。)
  • 参加申し込み:下記お申込みフォームから事前にお申込みください。(所要時間1分)

ゲストスピーカー

辻英人
株式会社メタ

公認会計士、株式会社メタ代表取締役。大手会計ファームにて会計・内部統制監査、株式公開準備や不正調査、コーポレート・ガバナンスシステム関連の支援業務を経験したのち独立。2017年にメタを設立し、経営戦略や基盤の整備・高度化支援を行う。


松本元延
NECソリューションイノベータ株式会社

広告代理店・コンサルを経てNECに入社。長年ビッグローブにおいてサービス開発と運営に従事。その経験を生かしたいと現在のNECソリューションイノベータに移り、新規事業開発支援に携わり9年目を迎えている。


モデレーター・オーガナイザー

佐々木晃也
大阪大学

大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程。専門はスピノザ。株式会社メタおよび諸法人とともに哲学一般に関する調査研究も行う。最近の論文に「企業内哲学者はいかなる意味で哲学者であるのか?——企業哲学実践の動向とその批判」(2024)。


堀越耀介
東京大学

東京大学UTCP上廣共生哲学講座特任研究員/日本学術振興会特別研究員(PD)。学校や企業で哲学コンサルティング/哲学対話を行う。専門は教育哲学/哲学プラクティス。


稲岡大志
大阪経済大学

大阪経済大学経営学部准教授。『フィルカル』副編集長。神戸大学大学院文化学研究科博士課程修了。博士(学術)。専門はヨーロッパ初期近代の哲学、数学の哲学、アニメーションの哲学など。主な業績に、『ライプニッツの数理哲学——空間・幾何学・実体をめぐって』(単著、昭和堂)、『世界最先端の研究が教える すごい哲学』(共編著、総合法令出版)、『3STEP 応用哲学』(分担執筆、昭和堂)など。


会場案内

東京大学 駒場キャンパス「21 KOMCEE East  K211」 ※対面のみで実施

構内図

東京大学HPより

共催:東京大学大学院総合文化研究科・教養学部附属 共生のための国際哲学研究センター(UTCP)、フィルカル

『フィルカル』読者アンケートのお知らせ

読者のみなさまに支えられ、フィルカルは来年2025年に10周年を迎えます。

そこで、今後の編集・制作作業の参考とするため、読者アンケートを募集いたします。

ご回答いただいた方のなかから、先着100名さま限定で、『フィルカル』Vol.8のご希望の号(no. 1, no. 2, no. 3)を1冊、無料でプレゼントいたします。

また、冊子の郵送をご希望されない場合でも、アンケートにお答えいただくことは可能です。

これまでのご感想、今後への期待や要望など、様々なメッセージをお待ちしております。

ご回答は下記フォームからどうぞ。

アンケートフォーム

注意点

  • お届け先は国内に限ります。お届け先情報が不正確な場合、発送を取りやめさせていただく可能性がございます。
  • ご記入いただいた個人情報は厳重に管理し、あらかじめご本人の許可なく、個人が特定できる情報を外部に提供することはありません。
  • お寄せいただいたご意見・ご感想の著作権は弊社に帰属します。回答者の許諾を得たうえで、当ホームページや弊社出版物、広告等に転載させていただく場合がございます。

Vol. 9, No. 1 を刊行いたします

分析哲学と文化をつなぐフィルカル、最新号『フィルカル Vol. 9 No. 1』が、4月30日(火)に発売となります。

書影

内容紹介

分析哲学と文化をつなぐ哲学雑誌「フィルカル」の最新号(Vol. 9, No. 1)。

特集「分析的ヒューム研究」ではヒューム哲学のアクチュアリティを、気鋭の若手哲学者が描きだします。

特集「スタンリー・カヴェル」では、アメリカとヨーロッパを横断し、哲学と文学を行き来するカヴェル独特の思考を複眼的に論じぬき、待望の翻訳が刊行される主著『理性の呼び声』の核心に迫ります。

小特集「著者自身による外国語論文紹介」では、国際的な哲学研究の最前線を紹介すると同時に、外国語ジャーナルに投稿するさいのアドバイスをふくむ実用的な記事が並びます。

シリーズは、映像作家の小森はるか監督のロングインタビュー、「てつがくやさん」として哲学カフェや哲学プラクティスに取りくむ松川えり氏のインタビュー、そして映画『ぼくたちの哲学教室』の翻訳監修者による論考など。新刊紹介・書評では、計11冊の新刊を若手研究者がたっぷりレビューします。専門家がつくる哲学誌フィルカル、今号も哲学と文化の《今》を伝えます。

目次

目次1
目次2

特集:分析的ヒューム研究

  • 趣意文(高萩智也)【試し読み
  • 高萩智也「「誇り」とは何か―デイヴィドソンのヒューム“解釈”を擁護する」
  • 鵜殿 憩「ヒュームの社会的認識論とアクラシアの問題」
  • 相松慎也「ヒュームの道徳的錯誤説―概念と実質の齟齬を経験論的に構成する試み」

特集:スタンリー・カヴェル

  • 趣意文(吉田 廉)【試し読み
  • 荒畑靖宏「すぐれて哲学的な概念としての〈セカイ〉」 【試し読み
  • 佐藤光重「哲学者の内なる私/私の内なる哲学者 ―スタンリー・カヴェルの『ウォールデン』論」
  • 筒井一穂「カヴェルの懐疑主義批判を読む―デカルト、シェイクスピア、そして近世の懐疑主義」
  • スタンリー・カヴェル、伊藤迅亮訳:翻訳「言うことは意味することでなければならないか」(上) 【試し読み

小特集:著者自身による外国語論文紹介

  • 企画主旨(森 功次)【試し読み
  • 秋葉剛史「真理の多元主義と真理付与者の理論」
  • 植村玄輝「日本における現象学―応用分野における受容に焦点をあてた小史」
  • 銭 清弘「芸術カテゴリーについての制度理論」
  • 谷田雄毅「ルールとポイント―「意味」の概念はどのような機能を果たすのか」
  • 宮園健吾・飯塚理恵「集団の認識的悪徳についての集団同一化説」

シリーズ 哲学とセーファースペース

  • 哲学・子ども・政治―映画『ぼくたちの哲学教室』とセーファースペース(後半) 西山 渓

シリーズ 哲学の居場所を探る

  • インタビュー第3回(前半) 松川えり(てつがくやさん)

シリーズ 映画で倫理学

  • カメラをむけることの倫理―小森はるか作『息の跡』、『空に聞く』、そして『二重のまち/交代地のうたを編む』 上村 崇・佐藤 靜・谷田雄毅・吉川 孝

シリーズ ポピュラー哲学の現在

  • 対談「哲学と自己啓発の対話Ⅱ」第五回 企画:稲岡大志/文責:玉田龍太朗

連載

  • 企業研修に見る若手社会人の哲学?!―「仕事」とは何か? 和辻 龍
  • イベント報告 古田徹也×大谷弘 トークイベント 吉田廉
  • 自著紹介 『道徳はなぜ価値判断の問題になるのか―ヘアの道徳哲学と好敵手たち』(名古屋大学出版会、2023年)冨田絢矢
  • 自著紹介 『ブルーフィルムの哲学―「見てはいけない映画」を見る』(NHK出版、2023年) 吉川 孝
  • 訳者による紹介 J・ディクソン『法哲学の哲学―法を解明する』(勁草書房、2024年) 伊藤克彦
    訳者による紹介 M・スチュワート『マネジメント神話―現代ビジネス哲学の真実に迫る』(明石書店、2024年) 稲岡大志
  • 監訳書紹介   『誤謬論入門―優れた議論の実践ガイド』で議論研究を考え、議論教育を教えるときにわたしの語ること(後編) 小西卓三
  • 編者による紹介 『人生の意味の哲学入門』(春秋社、2023年) 蔵田伸雄
  • レビュー      M・ガブリエル『超越論的存在論―ドイツ観念論についての試論』(人文書院、2023年) 岡部幹伸
  • レビュー     『人生の意味の哲学入門』(春秋社、2023年)―「新たな別の生を生む/産む・育てる者」の視点から「この子ども」の生の意味を考える 坂本美理
  • レビュー      野本和幸『カントと分析哲学』(勁草書房、2023年) 片山光弥
  • レビュー      次田 瞬『意味がわかるAI入門―自然言語処理をめぐる哲学の挑戦』(筑摩書房、2023年) 竹下昌志
  • レビュー      N・スタンリック『アメリカ哲学入門』藤井翔太訳(勁草書房、2023年) 安永光希 

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