Vol. 6, No. 2を刊行いたします

最新号『フィルカル Vol. 6 No. 2』が、8月31日(火)にいよいよ発売となります。(BASEではひと足先に、商品のご購入が可能です。)以下に、最新号の内容をご紹介いたします。(目次はページ最下部)

内容紹介

今号の目玉は、巻頭特集『ここは今から倫理です。』。前号Vol. 6 No. 1に続く特集となる今回は、原作者の雨瀬シオリさんインタビュー「優しい「こそ泥」の倫理」、そして同タイトルのNHKよるドラ制作陣の渡辺哲也さん・尾崎裕和さんインタビュー「ドラマを作ることは哲学することでもある」を、60頁にわたって掲載しています。

「私は知識の泥棒をしているだけ」というやや驚き?のことばでスタートする雨瀬シオリさんインタビュー。青年誌で倫理を描くことになったきっかけからはじまり、「憑依型」としての自身のマンガの描き方やセリフの作り方、あるいは主人公高柳の造形の仕方や、『ここ倫』の今後の展開まで、フィルカルのほかではまず聞くことのできない貴重なお話をたくさんしていただきました。

倫理学書のなかに『ここ倫』に登場する問題を抱えた生徒の原型を何人も見つけたという雨瀬さん。(ときに理論偏重にもなりがちな)「倫理学」が、雨瀬さんが作中で描こうとする、生身の人間の生に根差した「倫理」とどのように手を携えることができるのか(あるいはできないのか)。そもそも哲学や倫理学って何だったっけ?とか、どうあるべきなんだっけ?といったところに立ち戻らせてくれるという意味で、哲学・倫理学研究者の皆さんにもぜひ一読いただきたいインタビューになっています。

つづくNHKよるドラ制作陣へのインタビューでは、演出・制作統括を担当されたお二人に、原作を解体して再構築する苦労や、専門家のドラマへの関わり方(※弊誌編集委員の神戸和佳子さんが高校倫理考証として参加されました)、主人公高柳役の山田裕貴さんをはじめとするキャスティングのポイント、哲学の力とフィクションの力、哲学の役割などについて存分にお話をしていただきました。ドラマスタッフが自身の手掛けた作品についてここまで多くを語ることはなかなかないはずですので、その点でこちらも非常に貴重かつ読み応えのあるロングインタビューになりました。

また特集後半では、『ここ倫』に刺激を受けた倫理学の専門家による充実の文献案内「倫理学」から見たドラマ『ここは今から倫理です。』も掲載しています。全体を通して、原作やドラマファンはもちろんのこと、研究者の皆さんにもぜひ目を通していただきたい、渾身の特集に仕上がっています。

『ここ倫』以外にも、今号ではふたつの特集をご用意しました。
特集「徳と教育」では現代の徳倫理学と徳認識論を踏まえた徳の教育論を、三氏の論文とともにご紹介します(次号Vol. 6 No. 3に続きます)。また前号に続く第二回となる特集「科学的説明論の現在」では、「物語的説明」と「説明的理解」というトピックに焦点を合わせ、それらの議論の発展経緯と現状を追いかける二つの論文を掲載しています(こちらも次号Vol. 6 No. 3に続きます)。

小特集「京大・緊縛シンポジウムを考える」では、2020年10月に開催されたシンポジウム「緊縛ニューウェーブ×アジア人文学」をめぐって、あのとき何が起きていたのか、そして何が問題だったのかを、臨床哲学とセクシュアリティ研究をご専門とするお二人にお話いただきました。哲学研究の在り方について考えるという意味では、『ここ倫』特集にも連なるテーマをもっています。

ほかにも、松林要樹監督インタビュー「戦争の記憶をよびおこす」や、モンロー・ビアズリーによる重要論文「美的観点」の翻訳と訳者解説、最終回となる「悪い言語哲学入門」、「#桜川ひかりに哲学のことをきいてみた」、対談「哲学と自己啓発の対話」、報告「ケンブリッジ滞在記」を掲載。後半には、全四本の哲学書のレビュー記事もそろっています。

『フィルカル』は、AmazonBASEのほか、一部大型書店、一部大学生協でお求めいただけます(お近くの書店でお求めいただけない場合には、philcul[at]myukk.orgまでご連絡いただければ、こちらから発送いたします)

夏休みを過ごされている読者の方も多いと思います、フィルカル『Vol. 6 No. 2』が、皆様の夏のおともとなればうれしいです。

目次

特集シリーズ1『ここは今から倫理です。』第2回
序文(稲岡大志)
優しい「こそ泥」の倫理 雨瀬シオリさんインタビュー
ドラマを作ることは哲学することでもある NHKよるドラ『ここは今から倫理です。』制作陣 演出:渡辺哲也さん・制作統括:尾崎裕和さんインタビュー
倫理学から見たドラマ『ここは今から倫理です。』(杉本俊介)

特集シリーズ2「徳と教育」第2回
「趣旨文:徳の教育論の展望 その可能性と危険性を見定める」(佐藤邦政)
「現代徳倫理学について 理論の概要、日本における始まり、教育という論点」(立花幸司)
「人間形成と人間構築をともに視野に入れる知的徳の保育・教育論 解放的徳と認識的不正義を両輪とする展望」(佐藤邦政)
「徳はコミュニケーションを志向する英語教育の目的たり得るか」(榎本剛士)

特集シリーズ3「科学的説明論の現在」第2回
「序言Ⅱ」(清水雄也・苗村弘太郎・小林佑太)
「物語的説明論の現在 歴史学から歴史科学へ」(苗村弘太郎)
「説明的理解論の現在 把握・知識・理解」(小林佑太)

小特集 京大・緊縛シンポジウムを考える(河原梓水・小西真理子)

シリーズ:ドキュメンタリー映画は思考する
「松林要樹監督インタビュー②:戦争の記憶をよびおこす」(吉川孝)

シリーズ:ポピュラー哲学の現在
対談「哲学と自己啓発の対話」第七回 (玉田龍太朗/企画:稲岡大志)

哲学への入門
悪い言語哲学入門 第4回 (和泉悠)

翻訳
「美的観点」(モンロー・ビアズリー、銭清弘訳)

解説
「モンロー・ビアズリー「美的観点」訳者解説」(銭清弘)

報告
「ケンブリッジ滞在記」(八幡さくら)

レビュー
「池田喬「アメリカ哲学の体現者としてのハイデガー」」(古田徹也)
「映画を「解剖」するという身振り 北村匡平『24フレームの映画学―映像表現を解体する』(晃洋書房、2021 年)書評」(高部遼)
「佐藤陽祐『日常の冒険―ホワイトヘッド、経験の宇宙へ』(春風社、2021 年)」(上田有輝)
「河野哲也『問う方法・考える方法―「探究型の学習」のために』(筑摩書房、2021 年)」(田辺裕子)

コラム
「#桜川ひかりに哲学のことをきいてみた 第3回 勉強会における発表練習」(桜川ひかり)