今後の編集方針について

先日創刊された英文分析哲学ジャーナルReview of Analytic Philosophy誌(以下「RAP誌」と略)がエディトリアルボードにKathleen Stock教授を迎えたことに関して、若手分析哲学研究者を中心にSNSなどで現在多くの方が懸念を表明されています。また、こうした直接的な発信をされていないさらに多くの方々のあいだにも、この懸念が広く共有されていると考えられます。Stock教授は著名な美学研究者ですが、トランスジェンダー当事者への排除的な発言などで知られており、『フィルカル』編集委員でもある三木那由他氏は、RAP誌の体制が、日本の分析哲学研究者のコミュニティ全体が性的マイノリティの方々への差別を許容する一律な傾向をもつというメッセージとして受け取られ、若手の哲学研究者や学生、当事者の方々への不安を広げることになりかねないと危惧の念を表明しておられます。(https://www.facebook.com/nayuta.miki/posts/4189162281141725

このような不安を少しでも和らげるために、この度『フィルカル』も編集部として今後の方針を改めてこの場を借りて確認させていただくことにしました。『フィルカル』はあらゆる差別に反対し、性的マイノリティの方々を含め、マイノリティの方々の生活や権利を脅かす可能性をもった一切の記事を掲載いたしません。また、差別のない社会の実現に向けて、微力ながらも尽力していく所存でございます。

こうした方針は従来通りのものではありますが、『フィルカル』の発行元(株)ミューはRAP誌の発行元でもあることから、『フィルカル』の関係者、執筆にご協力いただいた方々、広告主の皆様、なにより読者の皆様に不安を抱かせてしまう可能性があると考え、今回改めてこの場で弊誌の立場を説明させていただきました。弊誌はみなさまのご支援とご協力でなんとか現在まで発行を続けてこられました。まだまだ未熟な、発展途上の雑誌ではありますが、よりよい誌面作りを目指して努力してまいりますので、今後とも『フィルカル』をよろしくお願いいたします。

『フィルカル』統括編集長 長田 怜
編集長   佐藤 暁

フィルカル編集部
分析哲学と文化をつなぐ雑誌