Vol. 7, No. 3を刊行いたします

分析哲学と文化をつなぐフィルカル、最新号『フィルカル Vol. 7 No. 3』が、12月25日(日)に発売となります。以下に、最新号の内容をご紹介いたします。(目次はページ最下部)

書影

内容紹介

今号の巻頭を飾るのは、特集1「映画で倫理学:フィクションもまたドキュメンタリーである」。老いた母親と自閉症を抱える息子の日常を描いた映画『梅切らぬバカ』(出演:加賀まりこ、塚地武雅)の和島香太郎監督をお招きして、「障害」「家族」「ケア」などをテーマに哲学・倫理学研究者がお話を伺っています。障害を抱える人を撮るときや、作品の演出をするときに、つくり手に求められる倫理や生じた葛藤といったシリアスなテーマから、撮影中の裏話まで、和島監督に非常にオープンに語ってもらっていました。応用倫理に関心がある人はもちろん、映画製作に関心がある人も必見です。


特集2は「作者の意図、再訪」。「作者の意図は芸術解釈に関与するのか否か」は分析美学上の伝統的な問題のひとつですが、今回は、この意図論争を再活性化するべく、若手美学者二名による論考を掲載。なぜ解釈の適切さを気にするのか、解釈では何が問題になるのか、作者の発言をどう受け止めるべきか。意図論争の「いま」を知ることのできる質の高い特集となっています。

特集3は「小山虎『知られざるコンピューターの思想史』」。分析哲学の歴史をヨーロッパからアメリカへたどりつつ、最終的にはコンピューターの歴史にまでつなげる同書は、「文化としての分析哲学」をとらえることをひとつの課題としてきた本誌にとっても学ぶべきものが多く含まれています。今回は、出版の経緯や同書の内容、叙述の仕方等々について、著者の小山虎氏へ同書インタビューを行いました。また本特集後半では、同書の理解を助ける書評記事も掲載しています。 そのほか新しく始まる「シリーズ 哲学の居場所を探る」では本誌の『ここは今から倫理です。』特集チームが中心となって、哲学研究のアウトリーチ活動について探っていきます。好評のバーナード・ウィリアムズ入門は今回が第二回。「シリーズ ポピュラー哲学の現在」も連載中。そのほか報告、レビュー、自著紹介、コラムも充実しています。

『フィルカル』は、Amazonや一部大型書店、一部大学生協でお求めいただけます。

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目次

特集1 映画で倫理学
序文(佐藤 靜)
「フィクションもまたドキュメンタリーである 和島香太郎監督『梅切らぬバカ』をめぐって」(上村 崇・佐藤 靜・谷田雄毅・吉川 孝)

特集2 作者の意図、再訪
「作者の意図はなぜ芸術解釈の問題になるのか」(村山正碩)
「創造的行為における意図とその明確化」(村山正碩)
「制度は意図に取って代われるのか」(銭 清弘)

特集シリーズ 小山虎『知られざるコンピューターの思想史』
序文(長田 怜)
小山虎氏著者インタビュー『知られざるコンピューターの思想史―アメリカン・アイデアリズムから分析哲学へ』(PLANETS、2022年)
小山虎『知られざるコンピューターの思想史―アメリカン・アイデアリズムから分析哲学へ』書評(村上祐子)

シリーズ 哲学の居場所を探る
「シリーズを始めるにあたって」(稲岡大志)
インタビュー第1回 『フィルカル』統括編集長 長田 怜
「哲学の居場所を探るために」(稲岡大志)

シリーズ 哲学への入門
「バーナード・ウィリアムズ入門 第2回」(渡辺一樹)

シリーズ ポピュラー哲学の現在
対談「哲学と自己啓発の対話Ⅱ」第一回(企画:稲岡大志/文責:玉田龍太朗)

報告
「これが高校生の本音?!10代に哲学が広がる可能性」(和辻 龍)

レビュー
「モンテーニュの〈魂〉の哲学 大西克智『『エセー』読解入門―モンテーニュと西洋の精神史』(講談社、2022年)書評」(筒井一穂)

自著紹介
「自著解説『ハイデッガーの超越論的な思索の研究』について」(丸山文隆)
「『「美味しい」とは何か』で消化できなかった話」(源河 亨)
「『哲学の門前』余滴」(吉川浩満)

訳者による紹介
「ノエル・キャロル『ホラーの哲学』なぜ怖いものが見たいのか」(高田敦史)

編者による紹介
「稲岡大志・森功次・長門裕介・朱喜哲編『世界最先端の研究が教える すごい哲学』」(長門裕介)

コラム
「新海誠が苦手だ」(森 功次)

フィルカル編集部
分析哲学と文化をつなぐ雑誌