Vol. 9, No. 3 を刊行いたします

分析哲学と文化をつなぐフィルカル、最新号『フィルカル Vol. 9 No. 3』が、2月1日(土)に発売となります。

書影

内容紹介

特集「企業内哲学──企業で/と働く哲学者たち」には、企業内哲学の実践者による論考とフランスの哲学者ジョルジュ・カンギレムの論文「今日のフランスにおいて哲学者であるとは何であるのか?」の翻訳を掲載しています。企業において哲学者にどのようなニーズがあるのか、それに対して哲学者側はなにを提供できるか、そして、そもそも「哲学者」とは何なのか、といった問いについて考えます。小特集「哲学の最前線──知識の哲学」では、「知的創造性」と「無知」についての最新の議論を、第一線で活躍する研究者がわかりやすく紹介します。その他にも、シリーズ「著者自身による外国語論文紹介」、「哲学の居場所を探る」(インタビュー)や、分析美学における重要論文(「美的態度という神話」)の翻訳を掲載しています。哲学者の食や仕事場といった日常を描くコラムや、著者自身による自著紹介・書評も。専門家がつくる哲学誌フィルカル、今号も哲学と文化の《今》を伝えます。

目次

目次1
目次2

Vol. 9 No. 3に掲載予定でした、スタンリー・カヴェル「言うことは意味することでなけらばならないか」翻訳の後半部はVol. 10以降の掲載となります。ご了承ください。

特集 企業内哲学──企業で/と働く哲学者たち
・企画趣旨 稲岡大志
・誰が哲学者と言われうるのか──「日本における企業内哲学の実際」とその分析 佐々木晃也
・企業「内」哲学から「間」でする哲学へ──媒介と対話のプロセスとしての哲学プラクティス 堀越耀介
・ビジネスで哲学する必要はない──企業内美学と遊び場 難波優輝
・翻訳 今日のフランスにおいて哲学者とは何であるのか? ジョルジュ・カンギレム、佐々木晃也

・解説  ジョルジュ・カンギレム「今日のフランスにおいて哲学者とは何であるのか?」 訳者解題 佐々木晃也

小特集 哲学の最前線──知識の哲学
・企画趣旨 藤原諒祐
・徳認識論の中の知的創造性 植原 亮
・無知の認識論──その成り立ちと近年の研究の諸動向 大橋一平

 シリーズ 著者自身による外国語論文紹介
・他者を理解すること──推論主義の観点から 飯川 遥
・譲歩的共同行為──共同行為論における新概念 三木那由他

シリーズ 哲学の居場所を探る
・インタビュー第3回(後半) 松川えり(てつがくやさん)

翻訳
・美的態度という神話 ジョージ・ディッキー、銭 清弘 訳
・解説  ジョージ・ディッキー「美的態度という神話」訳者解説 銭 清弘

 リレーコラム
・哲学メシ──完全食編 杉山 弦
・研究者の楽屋裏──小さな書斎の窓辺から 浪波利奈

連載
・柔道に見る哲学?! ──「練習」と「稽古」の違い 和辻 龍

書評・紹介
・自著紹介 『SFマンガで倫理学──何が善くて何が悪いのか』(さくら舎、2024年) 萬屋博喜
・自著紹介 私たちは自由であるがゆえに運に晒される──『自由と自己の哲学』(岩波書店、2024年) 李 太喜
・自著紹介 『真理の本性』(勁草書房、2024年) 須田悠基
・自著紹介 『問いが世界をつくりだす』(青土社、2024年) 田村正資
・編者による紹介 『ジェンダード・イノベーションの可能性』(明石書店、2024年) 鶴田想人
・訳者による紹介 道徳の系譜学へ──『恥と運命の倫理学』(慶應義塾大学出版会、2024年) 渡辺一樹・杉本英太
・レビュー ジェームズ・A・ハリス『ヒューム入門』(丸善出版、2024年) 澤田和範
・レビュー 酒井健太朗『教育の思想と原理』(晃洋書房、2024年) 山田真由美
・レビュー 共鳴する〈トラブル〉──藤高和輝『バトラー入門』(ちくま新書、2024年) 青本柚紀
・レビュー 道化と哲学者―Michael Schur, How to Be Perfect (Simon & Schuster, 2022) スティーブン・ミラー、藤井翔太 訳

ご購入はAmazon、一部書店、一部大学生協で。

ワークショップ「企業内哲学の「資格」をめぐって」を開催します(主催:東京大学UTCP、共催:フィルカル)

東京大学UTCP(共生のための国際哲学研究センター)の主催(共催:フィルカル)にて、ワークショップ「企業内哲学の「資格」をめぐって」を開催します。

イベント概要

企業内哲学」と呼ばれる動向が近年、注目を集めています。
哲学を取り入れる国際企業は年々増加してきています。いまや日本でもそうしたコンサル企業が少なくとも3つあります。企業に哲学対話を提供するようなフリーで働く哲学プラクティショナーを含めれば、その数はもっと多くなります。

昨年6月には、哲学者を「企業内哲学者」として雇用した企業側の方々に、なぜ哲学者を受け入れたのか、受け入れた結果どうなったのか、といった話を伺う機会を設け、この動向の理解を深めました(その様子は『フィルカル』Vol. 9 No. 3に「企業内哲学」特集としてまとめられています)。

ただこのように企業での哲学実践とその理解が広まってきたなかで、いま、新たな問いが生じてきてもいます。それは「その実践はいかなる”資格”で哲学であるのか」というものです。

資格をめぐるこの問いは、一方で哲学という専門性、ひいては哲学の社会的役割の問いであり、他方では哲学導入を望む企業にとっての採用条件の問いでもあります。

より広くは、「企業で哲学をするためにはどのような能力やスキルが必要なのか」「哲学の学位は必要なのか」「大学や大学院の哲学教育で育まれる専門性と企業で求められる専門性はどの程度重なり合うのか」などと、さまざまなレベルでの疑問を呼び起こすテーマです。

そこで今回は、専門的な哲学教育を受けて企業内哲学に従事する研究者や、参加者の専門性を問わない哲学対話を企業に積極的に導入しているビジネスパーソンをお迎えして、それぞれの立場からのお話を伺います。そしてそうした発表をふまえつつ、参加者のみなさまとともにこのテーマについて考えていきたいと思っています。

詳細

  • 日時:2025年5月31日(土)14時から17時頃
  • 会場:東京大学 駒場キャンパス 21 KOMCEE East K211 
  • 参加費:無料
  • 定員:70名(定員に達し次第、お申込みを締切らせていただきます)

スピーカー

大前みどり
ダイナミクス・オブ・ダイアログ合同会社代表)

産業能率大学大学院総合マネジメント研究科修了(MBA)。専門は経営理念の浸透。企業における人材育成や起業家支援に従事後独立。様々な対話的アプローチを活用し、企業、自治体、地域、学校などで対話の場づくりを推進。2019年から哲学対話を実践し、哲学対話の進行役のための講座運営などを行っている。


佐々木晃也
大阪大学

大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程。専門は哲学(スピノザ、企業内哲学など)。対話型ワークショップの研究と求人業界での仕事を経て、現在。最近の著作としては「哲学×対話」(『対話をめぐる旅ー豊かな関係のデザイン』, 158-184, 2025年)、「被統治者の倫理:スピノザとアディアフォラ」(『現代思想』53(3), 147-156, 2025年)など。


堀越耀介
東京大学

東京大学UTCP上廣共生哲学講座特任研究員。専門は教育哲学・哲学プラクティスで、特にジョン・デューイの哲学思想、 哲学対話の理論を研究。企業での社員研修や哲学コンサルティングを行う。著作に「哲学で開業する:哲学プラクティスが拓く哲学と仕事の閾」(『現代思想』 50(10) 98-107, 2022年)、『哲学はこう使う:問題解決に効く哲学思考入門』(実業之日本社、2020年)など。


稲岡大志
大阪経済大学

大阪経済大学経営学部准教授。専門は17世紀ヨーロッパ哲学、数学の哲学、アニメーションの哲学など。主な業績は『ライプニッツの数理哲学』(単著、昭和堂、2019年)、『世界最先端の研究が教える すごい哲学』(共編著、総合法令出版、2022年)、マシュー・スチュワート『マネジメント神話』(翻訳、明石書店、2024年)、キャサリン・ホーリー『信頼と不信の哲学入門』(監訳、岩波新書、2024年)など。


主催:東京大学UTCP 共催:フィルカル

フィルカル Vol. 9 No.3の刊行と今後の刊行スケジュールについて

フィルカル Vol. 9 No. 3を2025年2月1日に刊行いたします。

例年では各号を同一年内に刊行しておりましたが、制作進行の都合により、今号は例年より遅れての刊行となりました。刊行が遅れましたこと、深くお詫び申し上げます。

また次巻(Vol. 10)以降はこれまでの年三回の定期刊行とは異なるスケジュールでの刊行となります。詳細につきましては決まり次第ウェブサイト等でお知らせいたします。

制作体制を見直し、皆さまによりよい雑誌をお届けできるよう努力して参ります。今後とも『フィルカル』をよろしくお願いいたします。

Vol. 9, No. 2 を刊行いたします

分析哲学と文化をつなぐフィルカル、最新号『フィルカル Vol. 9 No. 2』が、8月31日(土)に発売となります。

書影

内容紹介

特集「バーナード・ウィリアムズと哲学史」では、「道徳的な運」「人生の意味」をめぐる仕事で知られる道徳批判の倫理学者・ウィリアムズをフィーチャー。プラトン、デカルト、ニーチェ、コリングウッドなどとの格闘を読み解き、ウィリアムズの発想の根幹に迫ります。特集「音楽生成AIのELSI」では、近年急速に発展したAI技術をめぐって、既存のコンテンツを学習し、故人の歌声を再現する音楽生成AIに求められる倫理を考えます。特集3「ケアへの法哲学」では、ケアを基底とする社会のあり方をめぐり、法哲学の専門家たちが批判と応答を繰り広げます。その他、シリーズ「著者自身による外国語論文紹介」や、哲学者の意外な一面を覗き見できる「リレーコラム」、アニメの作画の良さを分析する投稿論文など。哲学誌ならではの充実の新刊紹介・書評も。専門家がつくる哲学誌フィルカル、今号も哲学と文化の《今》を伝えます。

目次

目次1
目次2

特集1 バーナード・ウィリアムズと哲学史
・趣意文 渡辺一樹
・過去と哲学へのセンス―B・ウィリアムズ、M・F・バーニェットとプラトン 納富信留
・B・ウィリアムズのデカルト解釈―その科学論と絶対的な捉え方をめぐって 有賀雄大・筒井一穂
・B・ウィリアムズのニーチェ批判に対する応答の試み 谷山弘太
・R・G・コリングウッドの発掘―哲学史、再演、歴史主義的形而上学 渡辺一樹

特集2 音楽生成AIのELSI
・序文 長門裕介
・人デジタルクローン技術のELSIを見据える―責任ある開発のための視点 鹿野祐介
・テクノロジーと音楽の結びつき―そして音楽生成AIへ 肥後 楽・吉村汐七
・死後に創作は可能か 松本大輝
・ELSIの視点から音楽をみる 増田 聡

特集3 ケアへの法哲学
・企画主旨 吉良貴之
・ケア基底的(社会ではなく)民主主義? 吉良貴之
・ケア基底的卓越主義? 佐々木梨花
・「ケア基底的社会」と「ケアする市民」のあいだ―憲法学とフェミニズムが想定する人間像 戸田舜樹
・子どもへのケアを「はかる」―ケアの価値と公平な分配を考えるために 坂本美理
・ケアの倫理の「あいまいさ」の価値 冨岡 薫
・ケア基底的社会のための弁明―5つの書評への応答 池田弘乃

論文
・「作画が良い」とはどういうことか―アニメの作画を批評する方法 鈴木 潤

シリーズ 著者自身による外国語論文紹介
・福利主観主義、洗練性、手続的卓越主義 石田 柊

リレーコラム
・哲学メシ――駒場編 藤原諒祐
・研究者の楽屋裏――卓上紹介 三浦隼暉

連載
・企業研修に見る若手社会人の哲学?―自分の時間と成長の在り方 和辻 龍

イベント報告
・スピノザと〈私〉のありか フィルカル編集部

Review
・訳者による紹介 スピノザ『ヘブライ語文法綱要―スピノザ全集 第IV巻』(岩波書店、2024年近刊) 秋田 慧
・編者による紹介 『ヘイトスピーチの何が問題なのか』(法政大学出版局、2024年) 八重樫 徹
自著紹介 『信頼と裏切りの哲学』(慶應義塾大学出版会、2024年) 永守伸年
・レビュー 池田喬『ハイデガーと現代現象学』(勁草書房、2024年) 石井雅巳
・レビュー 御子柴善之『カント 実践理性批判―シリーズ世界の思想』(KADOKAWA、2024年) 中山弘太郎
・レビュー M・スチュワート『マネジメント神話―現代ビジネス哲学の真実に迫る』(明石書店、2024年) 大澤絢子
・レビュー 山野弘樹『VTuberの哲学』(春秋社、2024年) 本間裕之
・レビュー 鈴木貴之『人工知能の哲学入門』(勁草書房、2024年) 水上拓哉
・レビュー 清塚邦彦『絵画の哲学』(勁草書房、2024 年) 村山正碩

Abstract

ご購入はAmazon、一部書店、一部大学生協で。

ブックフェア「スタンリー・カヴェルからはじめる書棚散策」(新宿紀伊國屋書店)

フィルカル編集部主催で、ブックフェア「スタンリー・カヴェルからはじめる書棚散策:『フィルカル Vol. 9, No. 1』×『理性の呼び声』刊行記念」を開催します。

本ブックフェアは、2024年8月8日から9月末まで、紀伊國屋書店新宿本店三階にて開催されます。
フェア開催中、店舗では選書者たちによる解説を掲載した20頁のブックレットを配布します

企画:フィルカル編集部
ブックレット執筆者:荒畑靖宏、池田喬、朱喜哲、長門裕介、古田徹也、吉川孝
会場:紀伊國屋書店 新宿本店 三階 G04棚(三階カウンタ前フェア棚)
営業時間:10:30~21:00
 ※税込8,000円以上の購入で配送料無料。税込8,000円未満の場合は900円(税抜)。

ブックレットおよびフェアの詳細は特設ページをご覧ください。

特設ページ:
https://socio-logic.jp/events/202408_cavel.php

本ブックフェアに関するお問い合わせは以下までお願いします。
株式会社ミュー フィルカル制作部
〒113-0022 東京都文京区千駄木1-23-3
mail: philcul@myukk.org